バリアフリー対応日本語字幕の考察

 
 

本日はよろしくお願いします。今回のプロジェクトでは、海外向けに英語字幕をのせました。それとは別にバリアフリー対応として日本語字幕をのせております。本日は聴覚障害者サッカー女子日本代表を追ったドキュメンタリーも撮られている中村和彦監督に日本語字幕についてお伺いしたいと思います。

よろしくお願いします。様々なジャンルの映画を撮っていますが、ドイツワールドカップのあとに知的障害者のサッカー世界大会があってそのドキュメンタリー映画『プライド in ブルー』を撮って、そのタイミングで色々な障害者サッカーがあるということを知りました。その後デフリンピック(聴覚障害者のための総合スポーツ競技大会)に出場する女子サッカー『アイ・コンタクト』を撮りました。今は電動車椅子サッカーのドキュメンタリーをつくっています。

映画を作るために手話を勉強しましたが、実際携わって感じているのは、全く聞こえない人から補聴器装用である程度聞こえる方まで様々です。中には手話が得意でない方もいれば、お年寄りの中には日本語字幕についていけない方もいます。そういった認識をしながら制作してくのが重要だと思っています。

 

 

確かに分かっていても進めていくうちに見逃してしまう部分かもしれません。

聞こえる人が見たらどう感じるか、聞こえない人、聞こえにくい人が見たらどう感じるか、難聴者、中途失聴者(音声言語獲得後に聴力が下がったり、聴力を失った人)が見たらどう感じるかを常に意識しながら制作します。知的障害の方に見てもらう場合は漢字を減らすなど、これですべての方が理解出来るようなものは存在しない。聞こえる人には字幕を読んでもらうのではなく聞いてほしいというのもあるし、それが表現だったりしますから。

 

 

確かに全てを説明してしまうとくどくなってしまう場合もありますね。

聞こえない人、聞こえにくい人の世界は誤解されていることが多いです、どこかで障害の程度をスパンと切れるものではないんですよね。

 

 

実は今回最初は映像に手話を付けようと思ったのですが、手話よりも字幕のほうが理解出来る人が多いのでは、と思い日本語字幕をつけたという経緯があります。

厳密な意味でのバリアフリーというのは手話も字幕もつける必要があります。

年配の方には字幕のほうが理解しづらい場合もある。障害は聴覚障害だけではないので、目の見えない方に向けて音声ガイドもつける必要がありますね。

 
 
 
 

ありがとうございます、我々の日本語字幕を見ていかがでしたか?

右下にテロップがあるから、字幕を左に寄せてると思うのですが、これは真ん中にしたほうがよいですね。コストとの兼ね合いもあると思いますが、バリアフリー版を作るならばテロップの位置をかえる。テロップを減らす、尺を変えるなど、通常版とは別のものを制作する必要があります。バリアフリー版を別で制作するということです。

それぞれの障害を持ってる人にどう見られるかは想像力だと思います。
例えばドキュメンタリーは字幕を読むだけで精一杯になってしまいがちです。劇映画はしゃべりっ放しの映画でもない限りそうでもないですが。

通常版に字幕を載せると、どうしてもテロップと字幕がだぶったりします。話すリズムにとらわれず視覚的な的な面での読みやすさを優先して、二行に改行してもよいかもしれません。人物紹介もテロップで入れてしまうとか、統一してしまう。あとはナレーションと字幕は多少違ってもよいと思います、伝わることが大切なので。

 

 

ありがとうございます、次回の制作に非常に参考になりました。

おそらく「こうでなくてはいけない」というものはなくて、どのような人に見てもらうか、そしてその人が見たときにどう感じるかを想像しながら制作すると良いと思います。

 
 
 
 

中村和彦(なかむら・かずひこ) 
映画監督。福岡県出身。高校時代の部活は野球部。 
早稲田大学文学部在学中、映画に興味を持ち、シナリオの勉強をし、助監督を経験。映画の路に進み、大学を中退する。 
2001年、奥田瑛二監督の映画『少女』で監督補。 
02年に『棒-Bastoni-』で劇場用映画監督デビュー。 
その後サッカー日本代表のドキュメンタリーDVDに携わりつつ、07年に監督第二作目、知的障害者サッカーのワールドカップを描いた『プライド in ブルー』を発表。 その後ろう者サッカー女子日本代表を描いた『アイ・コンタクト』が公開。自他ともに認めるサッカー好き。 最新作は福島県南相馬市のマーチングバンドを描いた短編ドキュメンタリー『MARCH』。

 
 
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